PubMedID | 23842490 | Journal | Nature, 2013 Aug 8;500(7461);217-21, |
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Title | Generation of inner ear sensory epithelia from pluripotent stem cells in 3D culture. | ||
Author | Koehler KR, Mikosz AM, ..., Patel D, Hashino E |
【背景】
以前よりES細胞やiPS細胞を用いて、内耳有毛細胞を誘導した報告はあったが、いずれも効率が悪く、また不完全な内耳様細胞であった。本論文ではマウスES細胞を用いて、非神経外胚葉および前プラコードという内耳発生に必要な2つの前駆組織に着目し、十分な機能的特性を有した耳前庭感覚細胞の誘導に成功したと報告している。
【方法】
マウスES細胞を用いて、bone morphogenic protein (BMP)、transforming growth factor (TGF-β) inhibitor、BMP inhibitor、fibroblast growth factor (FGF)、による処置を段階的に行い、内耳感覚上皮への誘導を試みた。蛍光イメージング法や電子顕微鏡(TEM)を用いた観察と、電気生理学的手法を用いたtransduction channel currentの測定を行っている。
【結果】
ES細胞から非神経外胚葉の誘導には、BMPの活性化およびTGF-β抑制という2つのステップが必要であった。また非神経外胚葉から前プラコードへの誘導には、BMPシグナルの抑制とFGFシグナルの活性化が重要であることがわかった。さらに内耳感覚上皮細胞の前駆体を含む小胞が予定耳プラコード領域から自律的に、連続して誘導され、卵形嚢や球形嚢に似た耳前庭感覚上皮様組織へと分化した。それらは機能的特性(mechanoelectorical transduction)を持った多数の有毛細胞(?型および?型細胞)を有し(〜1500個)、また同じく培養下でES細胞から作製した感覚ニューロンとシナプスを形成することが確認できた。
【考察】
機能的な有毛細胞が効率よくin vitro で作製できたことは注目に値し、内耳発生メカニズムの解明を容易にするだけでなく、新たな疾患モデルの作製や、新薬開発、内耳再生治療などへの期待が持てる。
1 | 京大・生命科学研究科 松田道行 | Re:多能性幹細胞からの内耳感覚上皮の作製 | 2014/01/15 |
ありがとうございました。Extensiveな免疫染色で迫力あるデータでした。
発生の分野ではScaleがルーチンになってきてるんでしょうか。confocal顕微鏡を使ったと書いてあったので、Scaleを使ったサンプルで200umくらいなら二光子は不要ということのようですね。でも、ライブだったらもっとよかったのに、と思ってしまいます。ESの段階で、いろんなプロモータのCreウイルスを感染させれば多重染色の替りはできそうな気もします。Tissue-Specific-Cre adenovirusのライブラリの出現を期待してしまいます。 |
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2 | 神戸大学バイオシグナル研究センター・分子薬理分野 齋藤研究室 二之湯 弦 | Re:Re:Re: | 2014/01/18 |
コメント有難うございました。レスポンスが遅くなり、申し訳ございません。初学者ですがこれからも宜しくお願い致します。
>発生の分野ではScaleがルーチンになってきてるんでしょうか 渉猟しえた範囲で、少なくとも内耳研究領域においてはscaleの手技が見受けられませんでした。もし御存じの先生がおられれば、御教示頂ければ幸いです。 >ライブならもっとよかったのに 一重に内耳有毛細胞と申しても、蝸牛と前庭では性質が大きく異なります。その一つに再生能がありますが、哺乳類では蝸牛の有毛細胞は障害をうけても再生しないことが知られております。発生の段階においてそれらがどう異なるのか、ライブで見ることができるなら非常に興味深いと思いました。 |
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