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PubMedID 22547408 Journal J Cell Biol, 2012 Apr 30;197(3);439-55,
Title Nonpolarized signaling reveals two distinct modes of 3D cell migration.
Author Petrie RJ, Gavara N, Chadwick RS, Yamada KM
京都大学生命科学研究科  同上    松田 道行     2012/05/26

3Dにおける細胞運動の形態の違いとRac1vsRhoA
Ken Yamadaの研究室から、3Dでの細胞運動の形態の違いが、Rac1とCdc42の活性分布に極性がみられるかどうかの差である、という論文が発表されました。3Dでの細胞運動の形態には、Rac1依存性の葉状突起を主体にするものと、RhoA主体のBlebbingを主体とするものがあることは、Erik Sahaiらが10年くらいまでに報告しており、さほど新規性はありません。しかし、skin explantや3Dコラーゲンの系などを駆使して、基質の堅さ(原子間力顕微鏡で測定)とこの運動形態の選択の間に相関があることを示した点が進歩といえます。
 個人的には、FRETを使ったRac1とCdc42の活性測定系に関心がありました。M&Mには、Klaus Hahnの論文に従ったと書いてありますが(Science 290:333, 2000) 、HahnらはGFP-Rac1とAlexa-546-Pakの二分子の系であるのに対し、本論文では、CFP-Rac1とYpet-Pakを使っています。CFP励起には457nmのレーザを使っていますので、技術的にはかなり困難なはず。われわれの経験では、457nmでの励起では、YPetの直接励起がかなりCFPチャンネルに漏れこんでくるので信頼性の高い画像はなかなかとれませんでした。補正をかけたあとのcorrected FRETの値が700-1300(12 bit)ということなので、もとのraw FRET channelは、ほぼ振り切るくらいあるはず。ビデオがないところをみると、褪色を覚悟で1枚どり、という条件なのだろうと思います。こういうのもありかなと思いました。ハイブリッドディテクターを使えば、もっときれいに行くのかもしれません。
   
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