FLI Forum
トップ検索ご質問

PubMedID 22723688 Journal J Neurosci, 2012 Jun 20;32(25);8480-90,
Title Medial Prefrontal Cortex Neuronal Activation and Synaptic Alterations after Stress-Induced Reinstatement of Palatable Food Seeking: A Study Using c-fos-GFP Transgenic Female Rats.
Author Cifani C, Koya E, ..., Shaham Y, Hope BT
産業医科大学医学部・第1生理学  上田陽一研    上田陽一     2012/07/09

食行動とニューロン活動の解析へのc-fos-GFPトランスジェニックラットの応用
 c-fos遺伝子発現およびFosタンパクの観察は神経活動の指標として汎用されています。本論文では、ストレス誘発性の食探索行動に関連する脳内部位として前頭前皮質ニューロンに着目し、その部位で活性化したニューロンとそうでないニューロンをGFP蛍光を指標に同定して比較を行っています。雌ラットを使用したのは性周期に伴う性ホルモンの変動が影響している可能性を考えたためです。実験の結果は、前頭前皮質ニューロンで活性化したGFP陽性ニューロンは、電気生理学的検討により興奮性が変化していたがGFP陰性ニューロンでは変化なく、この変化には性腺ホルモンは影響なかった、というものでした。
 ある行動実験の後、速やかに断頭して目的部位の脳スライス標本を作製し、GFP蛍光を指標にその行動実験により活性化したニューロンを同定し、続いて電気生理学的実験を行い、GFP陽性ニューロンとGFP陰性ニューロンの性質を比較することにより、ニューロンレベルでの(シナプス効率などの)変化と行動実験を結びつける、という実験ストラテジーです。

 私たちの研究室でも、c-fos-eGFPトランスジェニックラットとc-fos-mRFP1トランスジェニックラットを用いた研究を進めています。基本的には、?ある刺激(ストレッサー)に対して活性化したニューロンを本論文のようにGFP蛍光の有無で同定して、電気生理学的な実験などを行う、?in vivoで活性化したニューロン群の時間的空間的な分布を三次元的に再構築する、などに有用なモデルであると考えています。
 c-fos-eGFPもしくは c-fos-mRFP1トランスジェニックラットの使用に興味のある方は、どうぞお気軽にお声かけください。
   
   本文引用



Copyright 「細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング」事務局