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PubMedID 23139335 Journal Science, 2012 Nov 9;338(6108);810-4,
Title Optical control of protein activity by fluorescent protein domains.
Author Zhou XX, Chung HK, Lam AJ, Lin MZ
国立循環器病研究センター研究所 細胞生物学部  望月研    柏田 建     2012/11/29

蛍光蛋白Dronpaの構造変化を用いたタンパク活性の光学的コントロール
Michael Z. Linラボから蛍光蛋白Dronpaを用いたタンパク質活性のoptical controlのtechnical paperが発表されました。

Dronpa K145N変異体の明暗のスイッチの際に起こる重合変化を利用し、
任意のタンパクのN,C末端をDronpaで挟み、目的タンパクの活性制御部位をマスクするfusion proteinを作成することで、
光によりDronpaを乖離-会合させ、タンパクの活性を任意でコントロール可能としています。

具体的な利用例としてCdc42GEFであるintersectinを用いた光によるfilopodia形成を制御、
またHCVNS3/4A proteaseを用いて共発現した基質を切断するデータを示しています。

これらタンパクの機能が、光によりどの程度十分にon-offスイッチングできるか詳細の解析が不十分な印象がありますが、
アイデア自体は,これまでのoptical controlより簡便でもあり、興味深い方法と思いました。
   
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1 理研・脳センター  シナプス分子機構  宮坂信彦 co-factorを必要としないのがよいですね 2012/11/29
私も来週のFLI文献担当でちょうどこの論文を紹介しようと考えていましたので、簡単にコメントさせていただきます。これまでに報告されている方法では、caged化合物をco-factorとして使用し、タンパク質の機能を制御するというものが多かったと思います。in vivoでの使用を考えた場合、co-factorをどのようにして効率よく標的組織に届けるかという問題がありました。一方この論文の方法では、co-factorを全く必要としないという点が非常に魅力的だと思います。また、caged化合物の場合は一旦uncagingしたらもとには戻せませんが、この方法だと光によるre-cagingが可能なので、タンパク質機能のより詳細な解析に利用できると期待されます。ただ、柏田さんもご指摘のように、光による機能のon-offにどの程度切れがあるのかや、in vivoで実際にどの程度使用できるのかなどは、今後の使用・解析による情報の蓄積が待たれるところです。
      
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2 京都大学生命科学研究科  生体制御学  松田道行 split GFPのもありますよ。 2012/12/01
先週、Symposium on Single-Cell Analysisで、Steven Boxerの発表を聞きました。下記の論文の続きという内容です。本フォーラムで紹介されている論文のDronpaの代わりにSplit GFPを使う方法でした。しかも、こちらはOnの時とOFFの時で、緑と黄色、と色を変えて出すことができるようです。まだ論文にはなっていないようでしたけれど。split GFPをいじると光スイッチができるというのは驚きました。

J Am Chem Soc. 2011 Mar 23;133(11):4046-52. Epub 2011 Feb 25.
Light-activated reassembly of split green fluorescent protein.
Kent KP, Boxer SG.
      
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3 理研・脳センター  シナプス分子機構研究チーム  宮坂信彦 trans型のsplit GFP 2012/12/03
松田先生

興味深い情報をありがとうございます。splitGFPの結合・解離が光で制御できるというのは全く知らなかったので、紹介していただいた論文を読んでみました。

この論文では、11番目のb-strandの前にproteaseの認識部位を挿入し、in vitro (無細胞系) で切断・変成・再構成させることによって、11b-strandとは結合できないtrans型のGFP1-10を作製しているようです。trans型GFP1-10を光でcis型にすることでGFP11と結合できるようになるのですが、論文のディスカッションでは、現在のところtrans型GFP1-10を細胞の中で作製することができていないとのことでした。シンポジウムで発表されていたsplitGFPを用いた光スイッチでは、このあたりが改善されて細胞に発現させて使用していたのでしょうか?
      
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4 京大・生命科学  生体制御  松田道行 Re: trans型のsplit GFP 2012/12/03

> この論文では、11番目のb-strandの前にproteaseの認識部位を挿入し、in vitro (無細胞系) で切断・変成・再構成させることによって、11b-strandとは結合できないtrans型のGFP1-10を作製しているようです。trans型GFP1-10を光でcis型にすることでGFP11と結合できるようになるのですが、論文のディスカッションでは、現在のところtrans型GFP1-10を細胞の中で作製することができていないとのことでした。シンポジウムで発表されていたsplitGFPを用いた光スイッチでは、このあたりが改善されて細胞に発現させて使用していたのでしょうか?

おっしゃる通り、1-10がmisfoldingしたものを細胞内でdenaturationーrefoldingすることは見せていなかったと記憶します。発表では、10番目のb-strandの置換体のデータを示していました。この場合、10番目のb-strandを11,1-9 の NあるいはC末にくっつけて、細胞内でfoldingするように作っていました。このcDNAを酵素(なんだったか忘れてしまいました)のcDNAに入れると、光依存性に10番のb-strandがかい離して構造が不安定になるので、酵素の活性も失活する(=split GFPが光スイッチになる)という話だったと思います。さらに10番のb-strandは、黄色(T204Y)と緑(野生型)と二種類のstrandをCとN末につけておくと、緑と黄色で酵素の活性がわかるということでした。詳しいデザインはわかりませんでしたが、N末、C末のどちらのstrandがくっつくかで、酵素の構造が違うようにしていました。細胞でやっていたように思うのですが、ひょっとしたらこれも試験管内だったかもしれません。
      
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5 理研・脳センター  シナプス分子機構研究チーム  宮坂信彦 Re: trans型のsplit GFP 2012/12/03
詳細な情報をありがとうございます。
もし細胞に発現させて使えるのなら、光スイッチで且つ色が変わるというのは魅力的ですね。論文が出たらチェックしてみます。
      
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