蝸牛有毛細胞のmechanotransductionに関与するTMHS

【背景】内耳有毛細胞での機械電気変換は、聴毛同士をつないでいるtip linkによりtransduction channelが開くことで生じるが、未だ機械電気変換に関わる分子は同定されていない。
【方法】難聴マウスモデルであるTMHS (tetraspan membrane protein of hair cell stereocilia) 欠損マウスの内耳で、蛍光イメージング法や電子顕微鏡を用いた観察と、電気生理学的手法を用いたtransduction channel currentの測定を行っている。
【結果】1) TMHSは聴毛の先端でtip linkの傍に局在する。2) TMHSはtip linkの構成分子であるPCDH15と結合し、transduction channel に近接して局在する。3) TMHSはtip link 構成に不可欠である。4) transduction channelの特性がTMHS欠損マウスでは異なる。
【考察】内耳有毛細胞のtransduction channelはCaチャネルである事が示唆されているが、未だその分子機構は不明である。本論文では、TMHSがtip linkの構成分子であるPCDH15とtip linkの根本で結合しいる事を解明し、TMHSが電位依存性Caチャネルのγサブユニットのようにチャネル特性の調整に働いている事が推察された非常に興味深い論文である。