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PubMedID 23563268 Journal Nature, 2013 Apr 7; [Epub ahead of print]
Title Visualization of an endogenous retinoic acid gradient across embryonic development.
Author Shimozono S, Iimura T, ..., Higashijima SI, Miyawaki A
理化学研究所 脳科学総合研究センター  宮脇研究室    下薗 哲     2013/04/15

レチノイン酸の可視化
理化学研究所 宮脇研究室で研究員をしております下薗と申します。FRET型レチノイン酸インディケータを開発し、ゼブラフィッシュ胚のレチノイン酸動態について検討した論文を紹介させて頂きます。本研究は飯村忠浩先生(現・愛媛大学)、東島眞一先生(生理学研究所)、北口哲也先生(現・早稲田大学)との共同研究です。

レチノイン酸 (RA)は分子量300の脂溶性の化合物であり、脊椎動物のボディーブランを決定するモルフォゲンの一つとして知られています。他にモルフォゲンとしては、線維芽細胞増殖因子, ビコイド, ノーダルなどがありますが、これらは全てタンパク質であり、GFPとの融合タンパク質として可視化されてきました。我々は低分子量の化合物であるRAを可視化するために、RA受容体のリガンド結合領域を利用したFRET型インディケータ, GEPRAs (genetically encoded probes for RA)を開発しました。GEPRAを発現させゼブラフィッシュ胚のRA分布を調べますと、RA合成領域(体の中央)と分解領域(頭と尾)の間に直線的な濃度分布が検出されました。濃度勾配が直線的であることは、発生の時空間ダイナミクスに比べてレチノイン酸の拡散が早いことを示唆します。更に外部から撹乱を加えましてもRAの濃度勾配は安定であることを明らかにしました。この安定性はRAの早い拡散によるのではないかと考えております。
今後はRA拡散の詳細な分子メカニズム解明を目指すとともに、トランスジェニックマウス作製などによりRAが関わるその他の生命現象の解明にも取り組みたいと考えております。
   
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1 京都大学生命科学研究科  生体制御学  松田道行 Re:レチノイン酸の可視化 2013/04/16
おめでとうございます&ご苦労様でした。低分子を検出するプローブの作成はcircular permutationのをたくさんスクリーニングしなければいけないので大変ですよね。RA結合ドメインをどこまで削るかはどうやって決められたのでしょうか。最近、乳酸のバイオセンサーの論文も出てますが、http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0057712
両端にリンカーを入れるとうまく動かないようですので、ドメインをどこまでとるかが第一のカギで、次に、circular permutantをどれくらい網羅するかが第二のカギのようですね。Carsten SchultzのラボではGateWayでcircular permutantをスクリーニングする系を作ってます。下園さんは制限酵素派ですが、この方が安価だからでしょうか。
このcircular permutantのlibraryは供与可能でしょうか?例えばLactate biosensorは改良の余地があるだろうとみています。Warburg効果はみなさんみたいでしょうし。

P.S. 多くの方が論文紹介していただき、感謝しております。年度末の書類締切に追われて、コメントを書く余力がなくてーーー。
      
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2 理化学研究所 脳科学総合研究センター  宮脇研究室  下薗 哲 Re:Re:レチノイン酸の可視化 2013/04/16
松田 先生

コメントを頂き、どうもありがとうございました。

RA結合ドメインは構造決定した文献(γの場合、Nature 378, 681-689 (1995))の領域を参考にしています。結合ドメインの長さによる調整は真面目には試しておらず(3,4パターン試してあまり変化がなかったので)、専ら蛍光タンパク質の交換によって反応の改良を試みました。今後は結合ドメインの両端もより細かく検討したいと思います。
私が制限酵素派なのは、CaM-M13がSphI, SacIで入っているcameleonの骨格を元に作製しているからです。Carsten Schultzの方法、調べてみます。ありがとうございます。
circular permutantはタンデムYPet-YPetからPCRで作製しておりまして特にライブラリーは作製しておりません。。。この辺りも効率化、体系化が必要と思います。

インディケータ作製、評価の効率化にもっと目を向けたいと思います。
ご教示頂きどうもありがとうございました。

下薗 哲
      
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3 理化学研究所 脳科学総合研究センター  宮脇研究室  下薗 哲 Re:Re:レチノイン酸の可視化 2013/04/17
松田 先生

コメントを頂き、どうもありがとうございました。

RA結合ドメインは構造決定した文献(γの場合、Nature 378, 681-689 (1995))の領域を参考にしています。結合ドメインの長さによる調整は真面目には試しておらず(3,4パターン試してあまり変化がなかったので)、専ら蛍光タンパク質の交換によって反応の改良を試みました。今後は結合ドメインの両端もより細かく検討したいと思います。
私が制限酵素派なのは、CaM-M13がSphI, SacIで入っているcameleonの骨格を元に作製しているからです。Carsten Schultzの方法、調べてみます。ありがとうございます。
circular permutantはタンデムYPet-YPetからPCRで作製しておりまして特にライブラリーは作製しておりません。。。この辺りも効率化、体系化が必要と思います。

インディケータ作製、評価の効率化にもっと目を向けたいと思います。
ご教示頂きどうもありがとうございました。

下薗 哲
      
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