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PubMedID 23891149 Journal Chem Biol, 2013 Aug 22;20(8);1078-86,
Title A Near-Infrared BiFC Reporter for In?Vivo Imaging of Protein-Protein Interactions.
Author
東京大学大学院総合文化研究科      佐藤守俊     2013/09/02

 近赤外蛍光タンパク質の一つであるiRFPの二分割化に基づいて,タンパク質間相互作用の近赤外蛍光イメージング実現するBiFCタイプの蛍光プローブ(iSplit)が開発されました.この蛍光プローブを開発したのは, iRFPを開発した米国のVerkhusha博士のグループです.本論文では,iSplitの安定発現細胞を用いたアッセイに基づいて,iSplitがバックグラウンドでほとんど相補化しておらず,タンパク質間相互作用依存的に蛍光シグナルが80倍増加することが示されています.なお,蛍光シグナルが10倍に達するまでに4.5時間を要するようです.iSplit の安定発現細胞をマウスにxenograftし,in vivoでの評価も行われています(相互作用依存的にiSplitの蛍光シグナルが23倍増加).ちなみに,相互作用依存性を検証するためのモデルとして,専らFKBP/rapamycin/FRBシステムが用いられています.筆者らの比較によれば,相補化を起こしたiSplitの蛍光強度はiRFPの25%程度とのことです.吸収スペクトル,蛍光スペクトル,モル吸光係数,蛍光量子収率およびphotostabilityはiRFPとほぼ同様とのことです.iSplitのさらなる特徴として,その寿命が短いことが挙げられます(半減期 ~3.8 hr).このiSplitの特徴は,同じ細胞の中で,タンパク質相互作用を繰り返し観察できるというメリットに繋がります.既存のBiFCシステムは,相補化を起こしたプローブの寿命が長い蓄積型なので,そのようなアプリケーションは困難です.本論文のiSplitは,タンパク質間相互作用の近赤外蛍光イメージングをはじめて実現するプローブという点で大変興味深いと思います.また,既存のBiFCシステムとは全く蛍光波長が異なるので,それらと同時に用いれば,複数のタンパク質間相互作用のマルチカラーイメージングを実現できるかもしれません.
   
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