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PubMedID 24074866 Journal Cell, 2013 Sep 26;155(1);135-47,
Title The cell-cycle state of stem cells determines cell fate propensity.
Author
理研・脳センター  細胞機能探索技術開発 宮脇敦史研究室    阪上ー沢野朝子     2013/10/06

インディケータ ・ 見事な使用方法
インディケータ開発の場合、みなさんそうだと思うのですが、私も2008年にFucciを発表して以来、配布し続けています。そしてここ2年ほどでFucciを利用した論文が急速に発表されるようになってきています。 もちろん、共同研究ではないので、発表されて初めて内容を知るコトがほとんどですので、驚きも悔しさも、そして愉しさもあります。

Fucciの欠点として、「earlyG1 期に蛍光が消失してしまう」という点があります。ですが、今回の論文はそれを巧みに利用しています。 
human pluripotent stem cells は、earlyG1 期にのみEndoderm への分化能力がある事を証明し、そのことにより、分化していく段階でその分化がシンクロしているように観察される理由も洞察できるとしています。

欠点を利点に。見事な使用方法です。
   
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1 京都大学・生命科学研究科    松田道行 Re:インディケータ ・ 見事な使用方法 2013/10/06
ますます応用が広がってご同慶の至りです。
最近、戸村さんが出した論文と比較すると、S/G2/Mの分布パターンがかなり違いますね。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0073801
このVallierらのデータを見ると、S/G2/MでもKOの蛍光がかなり残ってますが、戸村さんのだとほぼKOの蛍光は消えている。細胞による違いなのでしょうが、つまり、個々の細胞によって、FACSあるいはほかの方法でかなりの数の細胞の2Dマップを作らないと色だけでは難しいということも言えそうですね。
      
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2 理研・脳センター  細胞機能探索・宮脇敦史研究室  阪上ー沢野朝子 Re:Re:Re:インディケータ ・ 見事な使用方法 2013/10/08
松田先生 コメントありがとうございます。

>つまり、個々の細胞によって、FACSあるいはほかの方法でかなりの数の細胞の2Dマップを作らないと色だけでは難しいということも言えそうですね。

そうですね。自分もこのあたり意識していきたいと思います。
ちなみに、original Fucciは、mKO2とmAGを蛍光タンパクとして用いています。この2色は、488レーザー1本でFACS解析することが可能です。また、561レーザーなど搭載されていれば、さらに綺麗な分離ができます。 そして、いずれの方法で取得したかにより、ドットプロットの形は変化してきます。 さらに、このもれこみ等の補正をどれだけ掛けるか、などはオペレーターによっても違うのかもしれません。

細胞周期情報に、細胞の大きさ(成長)情報を重ねて表示、理解する!というように2Dマップを向上させることも考えていきたいと思います。
      
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3 京都大学医学部医学研究科  AKプロジェクト  戸村 道夫 Re:インディケータ ・ 見事な使用方法 2013/10/08
松田先生
血球系で発現するFucci-Tgマウスの論文の引用ありがとうございます。

Vallierらと私たちの論文の2Dプロットのパターンの違いについて沢野先生のコメントに補足させて頂きます。

私の経験からになりますが、Vallierらの2Dプロットと、松田先生に紹介して頂いた、私たちの発表した血球系でFucciを発現するFucci-Tgマウスの2D プロットはほぼ同様だと考えています。
Vallierらのプロットは、mAGとmKO2由来の蛍光の、FL1、FL2それぞれの検出チャネルへの蛍光の漏れ込み補正を全く行っていない表示である可能性が考えられます。私たちのFucci-Tgマウスを用いた解析でもコンペンセーションを掛けないと、Vallierと同様のパターンになります。Vallierらのプロットでは横軸縦軸はFL1-FL2と表示しており、mAG、mKO2と表示していません。
加えて、VallierらのplotでもG1/Sがきちんとgating出来ていることもあり、S/G2/M populationではmKOは発現していず、一方、Late G1についてもmAGは発現していないと考えられます。
      
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