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研究課題

研究課題名:新規 intravital 蛍光イメージングシステムの開発とがん微小環境の解析

研究代表者(所属):今村健志(愛媛大学大学院 医学系研究科 分子病態医学分野・教授)

研究内容

 今村健志
 これまで、がんは正常細胞の染色体に変異が入って異常増殖した「均一ながん細胞の集団」と考えられていた。ところが、近年、がんは不均一な細胞の集団であり、その中に幹細胞の性質を持ったごく少数のがん細胞(がん幹細胞;cancer stem cell)が存在し、それが発がんや転移に関与し、更にはがんの再発の原因ではないかと考えられるようになってきた。また、がんは細胞の周りを血管や間質といった微小環境が支えている複雑な組織であり、がん微小環境が発がんや転移にも強く関わる可能性がある。特に、がん幹細胞はニッチ(niche)と呼ばれる環境によって自己再生能や多分化能の維持、制御された増殖や分化等の特性を付与されると考えられている。
 以上のことから、これからのがん研究では、がん幹細胞とニッチを中心としたがん-がん微小環境から構成される複雑なネットワークを理解して、その分子メカニズムを解析する必要がある。そこで、本研究課題では、蛍光実体顕微鏡をベースに、マウスの全体像から細胞レベルまでの観察を高空間分解能で可能な新規 intravital(生体)蛍光観察システムを開発し、細胞周期を可視化するFucciシステムを駆使して、生体内で冬眠状態にあるがん幹細胞を同定し、がん幹細胞マーカーをスクリーニングする。一方で、がん細胞内部のシグナル伝達を可視化するバイオセンサーや微小環境を可視化する各種蛍光プローブを開発し、がん幹細胞とがん微小環境の相互作用を時空間的に可視化し、その分子メカニズムを明らかにする。

代表的論文3編

Functional in vivo optical imaging of tumor angiogenesis, growth, and metastasis prevented by administration of anti-human VEGF antibody in xenograft model of human fibrosarcoma HT1080 cells.
Hanyu, A., Kojima, K., Hatake, K., Nomura, K., Murayama, H., Ishikawa, Y., Miyata, S., Ushijima, M., Matsuura, M., Ogata, E., Miyazawa, K., Imamura, T.
Cancer Sci, 100, 2085-92, (2009)

Visualizing spatiotemporal dynamics of multicellular cell-cycle progression.
Sakaue-Sawano, A., Kurokawa, H., Morimura, T., Hanyu, A., Hama, H., Osawa, H., Kashiwagi, S., Fukami, K., Miyata, T., Miyoshi, H., Imamura, T., Ogawa, M., Masai, H., Miyawaki, A.
Cell, 132, 487-98, (2008)

Bone morphogenetic protein signaling enhances invasion and bone metastasis of breast cancer cells through Smad pathway.
Katsuno, Y., Hanyu, A., Kanda, H., Ishikawa, Y., Akiyama, F., Iwase, T., Ogata, E., Ehata, S., Miyazono, K., Imamura, T.
Oncogene, 27, 6322-33, (2008)


関連HP  愛媛大学大学院 医学系研究科 分子病態医学分野
(http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/imaging/about.html)

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