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研究課題

T細胞のリンパ節間質高速遊走における細胞内動態と組織微小環境

研究代表者(所属):片貝智哉(関西医科大学 附属生命医学研究所 分子遺伝学部門・講師)

研究内容

 片貝智哉
 免疫系細胞は全身を監視するために血液中を循環しながら必要に応じて組織に移行し、活発な遊走能を発揮して感染部位や病変組織へと急行する。すなわち素早く移動すること自体が免疫細胞の重要な機能のひとつであるといえる。マウスリンパ節の生体観察により、リンパ球の一種であるT細胞が組織内において非常に活発かつ高速で動き廻っていることが明らかになった。これは抗原情報を提示した樹状細胞を短時間にできるだけ多く探査し、効率よく免疫応答を誘導するために極めて重要であると考えられる。この組織内遊走は巨視的には方向性を持たないランダムな動きであるが、微視的には網目状に張り巡らされた間質ストローマ細胞のネットワークに沿って移動しているように見える。
 本研究では2光子励起顕微鏡を用いた組織内ライブイメージングにより、リンパ節間質を高速移動するT細胞の内部構造と細胞極性の動態観察および隣接組織細胞の同時可視化を試み、3次元的組織微小環境内におけるT細胞の遊走原理を究明する。そのため、細胞の形態や運動、極性形成に深く関わるアクチン細胞骨格関連分子群に注目する。一方で、T細胞、樹状細胞、ストローマ細胞ネットワークの三者を同時に可視化するシステムを構築し、それぞれの空間的な位置関係や接触面に注目しながら動的な解析を進め、最終的に細胞内構造観察との統合を目指す。これにより3次元的な組織微小環境内におけるT細胞の遊走原理を究明する。

代表的論文3編

Mst1 controls lymphocyte trafficking and interstitial motility within lymph nodes.
Katagiri, K., Katakai, T., Ebisuno, Y., Ueda, Y., Okada, T., and Kinashi, T.
EMBO J., 28, 1319-1331, (2009)

Organizer-like reticular stromal layer common to adult secondary lymphoid organs.
Katakai, T., Suto, H., Sugai, M., Gonda, H., Togawa, A., Suematsu, S., Ebisuno, Y., Katagiri, K., Kinashi, T., and Shimizu, A.
J. Immunol., 181, 6189-6200, (2008)

Lymph node fibroblastic reticular cells construct the stromal reticulum via contact with lymphocytes.
Katakai, T., Hara, T., Sugai, M., Gonda, H., and Shimizu, A.
J. Exp. Med., 200, 783-795, (2004)


関連HP  関西医科大学 附属生命医学研究所 分子遺伝学部門
(http://www3.kmu.ac.jp/molgent/index.html)

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