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研究課題

蛍光キネティクスによる、転写因子複合体の細胞分化・がん化に相関した核内過程の研究

研究代表者(所属):近藤寿人(京都産業大学 総合生命科学部・客員教授、大阪大学 生命機能研究科・招へい教授)

研究内容

 近藤寿人
 SOX2をはじめとする多くの転写因子は、単独で作用するのではなく、他の転写因子をパートナーとした複合体を形成してはじめて、転写制御機能を発揮する。これらの転写因子が、核内でどのような分子過程をへて複合体を形成し、クロマチン上の制御標的に到達して、制御機能を発揮するのだろうか? その分子過程は胚発生のプロセスでどのように変化し、その変化は各細胞状態における転写制御機構とどのように関連しているのだろうか? これらの問いに本研究で答えたい。
 この研究では、蛍光標識転写因子ならびにそれらの変異体の、FRAPなどの蛍光キネティクスを解析することによって、転写因子複合体とクロマチンとの相互作用を解析する。時定数の違いや変異体の効果などをもとにして、クロマチンとの相互作用を素過程に分解して解析する。変異体転写因子としては、パートナー因子との相互作用ができない変異体や、DNAに結合できない変異体を活用する。
 異なった細胞状態での転写因子複合体の核内過程を比較するために、着床後胚由来の幹細胞で体細胞系列の直接の前駆体であるエピブラスト幹細胞を用いる。エピブラスト幹細胞から体細胞への分化プロセスで、蛍光標識転写因子のFRAP/FDAPなどの蛍光キネティクスがどのように変化するのかを解析する。エピブラスト幹細胞は、培養操作で24時間以内に特定の体細胞系列に発生させることができるので、幹細胞から体細胞への分化の遷移状態を、転写因子複合体の核内での挙動の変化としてリアルタイムで捉えて解析することができる。

代表的論文3編

Transcriptional regulatory networks in epiblast cells and during anterior neural plate development as modeled in epiblast stem cells.
Iwafuchi-Doi, M., Matsuda, K., Murakami, K., Niwa, H., Tesar, P.J., Aruga, J., Matsuo, I., Kondoh, H.
Development, 139, 3926-3937, (2012)

Tbx6-dependent Sox2 regulation determines neural or mesodermal fate in axial stem cells.
Takemoto, T., Uchikawa, M., Yoshida, M., Bell, D.M., Lovell-Badge, R., Papaioannou, V.E., Kondoh, H.
Nature, 470, 394-398, (2011)

SOX-partner code for cell specification: regulatory target selection and underlying molecular mechanisms.
Kondoh, H., Kamachi, Y.
Int J Biochem Cell Biol, 42, 391-399, (2010)


関連HP  京都産業大学総合生命科学部、
大阪大学大学院 生命機能研究科(http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/index.php)

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