コンセプト

下村脩先生のノーベル賞受賞に象徴されるように蛍光生体イメージング技術の進歩には括目すべきものがあります。様々な光学的特性をもつ蛍光タンパク質が出現し、新しい動作原理の蛍光分子プローブが開発され、細胞周期や情報伝達分子の活性状態など、これまで生化学的にしか知ることのできなかった分子や細胞の機能情報が可視化できるようになっています。また、蛍光生体イメージング技術の急速な発展は蛍光プローブの開発のみならず顕微鏡の進歩に負うところも非常に大きいものがあります。たとえば、二光子励起顕微鏡が開発されたことにより、生きた組織を三次元的に観察することが可能となりました。
このように、時間、空間、機能と多次元的に観察することが可能になった蛍光生体イメージングは、医学・生物学の進歩に大きく貢献しています。新学術領域研究「細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング」は、2010年度から5年間にわたり、この「蛍光生体イメージング研究を遂行してきました。この間、この領域研究に参加した50名を越す研究者はそれぞれの領域で重要な発見をしています。2015年3月に本研究領域が終了するに当たり、本邦および国外の蛍光生体イメージに関わる多くの研究者を集め、お互いの情報を交換するとともに、さらなる研究領域の発展を期したいと思います。