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modified   2013-06-11


----  ----    井上博文     2012/02/08

Scaleについて
濱先生、愛媛大学の井上です。
マウス肺でscale処理をしているのですが、プロトコル通りの処置ですりガラス程度の透明度は何とか得られました。さらに透明度を上げるにはどのような条件振りをすればよいでしょうか?
アドバイスよろしくお願いします。
   
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1 ----  ----  濱 裕 井上先生へ 2012/02/08
> 濱先生、愛媛大学の井上です。
> マウス肺でscale処理をしているのですが、プロトコル通りの処置ですりガラス程度の透明度は何とか得られました。さらに透明度を上げるにはどのような条件振りをすればよいでしょうか?
> アドバイスよろしくお願いします。

井上先生

肺はScaleには難しいサンプルであると思います。私自身は肺についてまだ試したことはありませんが、比較的週齢が低い個体の肺でしたらもしかしたら透明化しやすいかもしれません。
磨りガラス程度の透明度がありましたらそのまま観察できるかもしれません。一度蛍光観察していただけるとよいと思います。
もしどうしても見た目の透明度を上げる必要があるようでしたら、Scale B4 (8M urea/0.1% TritonX-100/water)を使ってみるのが
よいと思います。Scale A2中で2−3日振盪処理した後にScale B4中で3日間振盪処理し、その後、再びScale A2に戻す、という
方法です。この時、組織1 gに対して50 mlチューブを用い、液量を35 mlにして室温で振盪し様子を見ていただけたらと思います。
宜しくお願いいたします。
濱 裕
      
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2 ----  ----  篠田 陽 Scale適用前のOCT包埋・洗浄処理について 2014/08/09
濱先生

東京理科大古市研で助教をしております、篠田と申します。

現在Scaleを使用して脳の透明化を行おうと考えているのですが、プトロコルを見ますと後固定後にsucrose置換した後、OCTコンパウンドに凍結包埋してPBSでwashoutという処理があるかと思います。こちらの「OCTコンパウンドに凍結包埋してPBSでwashout」という操作は必要なのでしょうか。必要だとすれば、どのような理由でしょうか。凍結切片を作製する必要がなければ、この処理は省く事が可能でしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、ご教授願えますと幸いです。
よろしくお願い致します。
      
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3 ----  ----  濱 裕 篠田先生のご質問「Scale適用前のOCT包埋・洗浄処理について」 2014/08/21
東京理科大学 
篠田先生

はじめまして。理化学研究所・脳センター細胞機能探索の濱です。
この度はScaleに関してお問合せを下さり誠にありがとうございました。

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現在Scaleを使用して脳の透明化を行おうと考えているのですが、プトロコルを見ますと後固定後にsucrose置換した後、OCTコンパウンドに凍結包埋してPBSでwashoutという処理があるかと思います。こちらの「OCTコンパウンドに凍結包埋してPBSでwashout」という操作は必要なのでしょうか。必要だとすれば、どのような理由でしょうか。凍結切片を作製する必要がなければ、この処理は省く事が可能でしょうか?
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(回答)
はい。結論から申し上げますと、このステップは省くことができません。
実際をお話しますと、このステップを省略して組織を直接ScaleA2に浸漬した場合、早ければ24時間以内に組織が膨化し始め、数日以内に膨らみすぎたあとにばらばらに崩壊してしまいます。
 原因についてはあくまでも推測ですが、一旦OCT compoundに入れて一旦凍結した後にPBS中で融解することで組織は急激な収縮のあとにゆっくりした膨張を経験します。この時にタイトな結合組織間のリンクが適度に緩み、程よく液が侵入する(あいまいな表現になりますが)ある種のporeまたは道筋が形成されると考えています(固定されているとはいえ細胞の形質膜には脂質が存在しており、凍結融解によってこの膜脂質が不均一になることが液の進入路の一つになるのではとも考えています)。
 ご存知の通りureaにはタンパクの変成作用がありますので凍結融解処理をしていない組織の場合、ureaによって急に進入路をこじあけられながら、液が浸透していくと考えられます。これにより組織はいきなりダメージを受け脆弱化し、崩壊しやすくなると考えています。
 証明するに至っておらず。とてもお恥ずかしい限りですが、概念的に理解していただけたらと存じます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
      
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4 ----  ----  篠田 陽 2014/08/28

濱先生

詳細なご回答、ありがとうございました。また、このステップが省く事ができないということ、省く事ができない理由につきましても、とてもよく理解出来ました。実はせっかくのご回答を待たずに既に本ステップを省略してScaleA2に浸潤させておりまして、既に2週間が経過しております。

現在のところ「膨らみすぎてばらばらに」なっていることはないのですが、なかなか透けていってくれません。2週間の間、3回程溶液を新しいものに変更したのですが、1日目の透明に向う速度に比べて、透明化は既に止まっているかのように透けないです。この理由もおそらく本ステップを省略したために起こっている可能性がありますね。次回は省略することなく試してみようと思います。

お忙しいところ本当にありがとうございました。
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
      
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