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modified   2013-06-11


----  ----    賀川義規     2012/04/12

がん細胞の血管移植について
蛍光ラベルされたがん細胞をヌードマウスの皮下の血管内に移植して、
二光子顕微鏡でがん細胞の浸潤を観察したいと思っています。
何度も挑戦していますが、なかなかうまくいきません。

困っているポイントは
1)注射の仕方 (血管が細すぎて入らない)
2)血管にとどめる方法 (入ってもすぐ流れてしまう)
3)観察方法について  (顕微鏡の種類 倒立/正立)
4)観察時期や観察時間について (移植してから7日目など)
など、成功例を教えていただけますと大変有り難いです。

どうぞよろしくお願いします。
   
   本文引用

1 ----  ----  今村健志 大阪大学 IFReC 細胞動態学 賀川義規さんの質問に対して 2012/04/12
すでにご存知かと思いますが、artificialでもよければ、AntiCancer, Inc.のHoffman RMらが開発したskin-flap法1)2)を用いると、簡便で、細胞がゆっくり血管内を移動します。観察方法については、われわれは正立の経験しかありません。観察時期や観察時間は麻酔や視野の維持に依存します。Hoffman RMは論文上72時間ぐらいは平気でやっていたと思います。われわれは、移植した後、一度閉じて、数日以上たってから再び開けたことがありますが、癒着してやりにくくいので、その場合は何らかの工夫が必要かと思います。

1) Direct external imaging of nascent cancer, tumor progression, angiogenesis, and metastasis on internal organs in the fluorescent orthotopic model.
Yang M, Baranov E, Wang JW, Jiang P, Wang X, Sun FX, Bouvet M, Moossa AR, Penman S, Hoffman RM.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Mar 19;99(6):3824-9. Epub 2002 Mar 12.

2) Cellular dynamics visualized in live cells in vitro and in vivo by differential dual-color nuclear-cytoplasmic fluorescent-protein expression.
Yamamoto N, Jiang P, Yang M, Xu M, Yamauchi K, Tsuchiya H, Tomita K, Wahl GM, Moossa AR, Hoffman RM.
Cancer Res. 2004 Jun 15;64(12):4251-6.

> 蛍光ラベルされたがん細胞をヌードマウスの皮下の血管内に移植して、
> 二光子顕微鏡でがん細胞の浸潤を観察したいと思っています。
> 何度も挑戦していますが、なかなかうまくいきません。
>
> 困っているポイントは
> 1)注射の仕方 (血管が細すぎて入らない)
> 2)血管にとどめる方法 (入ってもすぐ流れてしまう)
> 3)観察方法について  (顕微鏡の種類 倒立/正立)
> 4)観察時期や観察時間について (移植してから7日目など)
> など、成功例を教えていただけますと大変有り難いです。
>
> どうぞよろしくお願いします。
      
   本文引用
2 ----  ----  前田 栄 2012/04/12
今村健志先生

血管移植についてご教示いただきまして、誠にありがとうございます。
skin flap法の論文は何度も読ませていただき、
挑戦しておりますがなかなかうまくいかない感じです。

もう少し教えていただきたいのですが、

1)がん細胞を血管に注射するときは、何Gの針を使われていますか?

2)以前、血管に入ったときも、
しばらくして、観察しようとしたら血流でがん細胞はどこかへ流れてしまっていました。
何か工夫されたりしておられますでしょうか?

3)skin flap法で、正立顕微鏡を用いて出来るだけ長時間とるコツなどございましたら、ご教授いただきたいです。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
      
   本文引用
3 ----  ----  今村健志 大阪大学 IFReC 細胞動態学 前田栄さんへの返事 2012/04/13
出張のために返事遅れてすみません。早速ですが、私は愛媛に移ったばかりなので、こちらではあまりskin flap法はやっていませんが、がん研時代の経験は以下です。

1) がん細胞を血管に注射するときは、何Gの針を使われていますか?
→通常、インスリン用マイジェクターの27Gもしくは29Gを使用しています。

2) 以前、血管に入ったときも、しばらくして、観察しようとしたら血流でがん細胞はどこかへ流れてしまっていました。何か工夫されたりしておられますでしょうか?
→血液をうっ滞させて流れに制限をかけるために、インジェクションする血管の末端に待針を斜めに刺し、細胞浮遊液にmatrigelを混ぜてインジェクションします。

3)skin flap法で、正立顕微鏡を用いて出来るだけ長時間とるコツ
→われわれは長時間イメージングの経験があまりないので、適切なアドバイスはできませんが、マウイの維持と皮膚の剥離した面が乾燥しないよう適宜生食で潤すことぐらいでしょうか。。
      
   本文引用
4 ----  ----  賀川義規 2012/04/14
今村健志先生

ご教示いただきまして、誠にありがとうございます。

血管内移植は
血流をうっ滞させ、マトリゲルを使ってやってみます。

また、長時間の観察は
湿潤環境を維持できるように、シリンジポンプなどを使って考えてみます。

先生のアドバイスを参考にさせていただき
いいデータが取れるように挑戦していきます。

今後ともご指導よろしくお願いします。
ありがとうございました。
      
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