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研究課題

研究課題名:生体イメージングによる血管新生シグナルの時空間制御機構の解明

研究代表者(所属):福原茂朋(国立循環器病研究センター研究所 細胞生物学部)

研究内容

 福原茂朋
 全身に張り巡らされた血管は、組織や細胞に酸素や栄養を供給し、二酸化炭素や老廃物を回収することで、生命維持に重要な役割を果たしている。生体では、個々の細胞がダイナミックに、しかし秩序を持って振る舞うことで、臓器、組織を形作っており、特に血管形成には、“細胞形態・運動”と“細胞増殖”という2つの「細胞の振る舞い」が重要である。そこで本研究では、多次元生体蛍光イメージング技術を駆使して、生きた個体における血管内皮細胞の“形態・運動”と“増殖”を観察し、さらにこれら細胞の振る舞いを制御するシグナル伝達経路を解析することで、血管形成のダイナミズムを解き明かす。これにより、培養皿の上の細胞ではなく、生体内の細胞を研究する in vivo cell biology という新たな研究領域の創出を試みる。
 RhoファミリーG蛋白質は、細胞形態・運動において中心的な役割を持つシグナル分子であるので、内皮細胞の形態・運動制御におけるこれら分子の役割を明らかにする。具体的には、共鳴蛍光エネルギー移動の原理を基に開発された RhoファミリーG蛋白質バイオセンサーを、血管で特異的に発現するゼブラフィッシュを樹立し、生体蛍光イメージングを行うことで、RhoファミリーG蛋白質が内皮細胞の形態・運動を制御するメカニズムを解明する。また、細胞周期バイオセンサー Fucci を、血管で特異的に発現するゼブラフィッシュを樹立し、生きた個体の血管で内皮細胞周期を可視化できるシステムを構築する。これにより、血管形成における内皮細胞増殖の意義を明らかにする。

代表的論文3編

Vascular endothelial-cadherin stabilizes at cell-cell junctions by anchoring to circumferential actin bundles through α- and β-catenins in cyclic AMP-Epac-Rap1 signal-activated endothelial cells.
Noda, K., Zhang, J., *Fukuhara, S., Kunimoto, S., Yoshimura, M. and *Mochizuki, N.
Mol Biol Cell, 21, 584-596, (2010) *Co-corresponding authors

Differential function of Tie2 at cell-cell contacts and cell-substratum contacts regulated by angiopoietin-1.
*Fukuhara, S., Sako, K., Minami, T., Noda, K., Kim, H.Z., Kodama, T., Shibuya, M., Takakura, N., Koh, G.Y. and *Mochizuki, N.
Nat Cell Biol, 10, 513-526, (2008) *Co-corresponding authors

Cyclic AMP potenciates VE-cadherin–mediated cell-cell contact to enhance endothelial barrier function through an Epac-Rap1 signaling pathway.
Fukuhara, S., Sakurai, A., Sano, H., Yamagishi, A., Somekawa, S., Takakura, N., Saito, Y., Kangawa, K. and Mochizuki, N.
Mol Cell Biol, 25, 136-146, (2005)


関連HP  国立循環器病研究センター研究所 細胞生物学部
(http://plaza.umin.ac.jp/~ncvc/)

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