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研究課題

蛍光色素を利用したイオンチャネルの開閉機構の可視化

研究代表者(所属):平野美奈子(光産業創成大学院大学 光バイオ分野・講師)

研究内容

 平野美奈子
 イオンチャネルは生体膜に存在し、細胞内外の環境変化を感知してイオン環境を調節することにより細胞の生理機能を制御するタンパク質である。循環器疾患、神経疾患を含めた種々の疾患にイオンチャネルは関与しており、有望な創薬標的として考えられている。イオンチャネルの機能はポアを通るイオンの流れを電流として捉えることで、1分子レベルで昔から詳細に測定されてきた。しかしながら、構造に関する情報は構造解析などの特定の状態でのスナップショットしかなく、機能しているチャネルの構造の遷移は明らかではない。そこで、本研究ではチャネルの分子実体を明らかにするため、機能しているチャネルの構造状態を蛍光色素の特性(FRET、色素の環境変化による蛍光強度変化)を利用して1分子レベルで計測することを目的とする。具体的には、カリウムチャネルの一つであるKcsAチャネルの刺激感受に重要な細胞内ドメインの構造変化を1分子、実時間でチャネル活性計測と同時に記録することを目指す。また、KcsAチャネルで確立した技術を用いて、生理的に重要なCFTRチャネルの開閉機構を明らかにすることも目指す。構造変化と機能変化の同時計測により、巨視的な計測ではわからなかったチャネルの持つ複数の構造状態と機能状態との対応関係が明らかになり、その情報と計算機シミュレーション等と合わせれば特定の機能状態のみを標的とした創薬が可能になると期待される。

代表的論文3編

Role of the KcsA channel cytoplasimic domain in pH-dependent gating.
Hirano, M., Onishi, Y., Yanagida, T. and Ide, T.
Biophys. J., 101(9), 2157-2162, (2011)

Direct Manipulation of a Single Potassium Channel Gate with an Atomic Force Microscope Probe.
Kitta, M., Ide, T., Hirano, M., Tanaka, H., Yanagida, T. and Kawai, T.
Small, 7, 2379-2383, (2011)

Rearrangements in the KcsA cytoplasmic domain underlie its gating.
Hirano, M., Takeuchi, Y., Aoki, T., Yanagida, T. and Ide, T.
J. Biol. Chem., 285, 3777-3783, (2010)


関連HP  光産業創成大学院大学 光バイオ分野(http://www.gpi.ac.jp/bunya/bio/index.php)

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