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研究課題

蛍光イメージングによる嗅覚系の機能的神経配線図の解読と再構築

研究代表者(所属):宮坂信彦(理化学研究所 脳科学総合研究センター シナプス分子機構研究チーム・研究員)

研究内容

 宮坂信彦
 嗅覚は多くの動物にとって、食物の探索、危険の察知や繁殖など、個体の生存と種の維持に関わる重要な感覚システムである。匂いの源から発せられた「匂い分子」は、鼻の奥にある感覚ニューロンによって受け取られ、その情報は匂い分子の化学構造を基にした「匂い地図」として脳の嗅球(一次中枢)に投影される。動物が匂いの種類に応じて様々な行動を出力するためには、さらに高次中枢が嗅球の匂い地図を適切に読み取る必要がある。しかしながら、嗅球から高次中枢に至る神経経路および匂い情報コーディング様式はほとんど解明されていない。本研究では、脊椎動物でありながら比較的単純な神経系を持ち、生体イメージングに適したゼブラフィッシュを用いて、「神経回路を観る」をキーワードに以下の解析を行う。
1) 多種多様なニューロンの複雑なネットワークの中から単一嗅球ニューロンの軸索軌跡を可視化し、嗅球から高次中枢への包括的配線マップを作製する。
2)シナプス結合を可視化する蛍光タンパク質プローブを用いて、嗅球ニューロンと高次中枢ニューロンの接続様式を解析する。
3)匂い刺激による神経活動や行動とリンクした神経活動履歴を可視化し、高次嗅覚中枢における機能マップを作製する。これら多角的蛍光イメージングにより神経回路の解剖学的構造と機能相関を明らかにし、感覚入力に応じた行動出力を司る神経回路メカニズムを解明する。

代表的論文3編

From the olfactory bulb to higher brain centers: genetic visualization of secondary olfactory pathways in zebrafish.
Miyasaka, N., Morimoto, K., Tsubokawa, T., Higashijima, S., Okamoto, H. and Yoshihara, Y.
J Neurosci, 29, 4756-4767, (2009)

Cxcl12/Cxcr4 chemokine signaling is required for placode assembly and sensory axon pathfinding in the zebrafish olfactory system.
Miyasaka, N., Knaut, H., Yoshihara, Y.
Development, 134, 2459-2468, (2007)

Robo2 is required for establishment of a precise glomerular map in the zebrafish olfactory system.
Miyasaka, N., Sato, Y., Yeo, S.Y., Hutson, L.D., Chien, C.B., Okamoto, H., Yoshihara, Y.
Development, 132, 1283-1293, (2005)


関連HP  理化学研究所 脳科学総合研究センター シナプス分子機構研究チーム
(http://www.brain.riken.jp/jp/y_yoshihara.html)

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