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modified   2013-06-11


----  ----    田邉一仁     2012/02/01

酸化ストレス可視化マウスに関する論文について
京都大学工学研究科の田邉一仁と申します。酸化ストレス可視化マウスの作成に関する非常に興味深い論文が発表されましたので、以下コメントさせていただきます。なお、FLIへの投稿がシステム上できませんでした(PubMed IDが存在しない)ので、今回はバーチャルイメージングセンターへ投稿させていただきます。

論文名:A transgenic mouse model for monitoring oxidative stress
著者:Oikawa, D.; Akai, R.; Tokuda, M.; Iwawaki, T. (Gunma Univ., RIKEN, PRESTO)
雑誌名:Scientific Reports, 2, Article number:229 DOI:10.1038/srep00229


コメント
実験動物を使って病態のモデルを作成することは、原因の究明や治療法の創出に不可欠です。この論文では、これまでにできなかった酸化ストレスの検出・評価をマウスからの化学発光を用いて可能にしました。
筆者らはOKD48という人工遺伝子を使い、酸化ストレスの可視化を実現しています。OKD48は、Nrf2(転写因子)とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子とその発現をストレスを受けた時に誘導するDNA配列(ARE)から成ります。OKD48の遺伝子産物は、通常の状態(ストレスを受けていない時)はKeap1と呼ばれるタンパク質によって分解されるため、ルシフェラーゼ発光に至りません。他方、Keap1が酸化ストレスを感知すると、Keap1の機能は抑えられる結果、融合遺伝子産物が分解を免れて安定化し、発光します。OKD48遺伝子を導入したマウス(OKD48マウス)に、酸化ストレス誘導剤を投与したり、ストレスを引き起こす紫外線を照射したところ、いずれの場合も有意な発光シグナルが検出できました。

DNAやタンパク質などの生体分子の酸化が引き起こす機能障害は、生活習慣病を始めとする多様な疾患の原因となります。今後、このマウスを使った疾患の診断法・治療法の確立を期待しています。


   
   本文引用

1 ----  ----  松田道行 PubMed ID 2012/02/02
Reportありがとうございました。フォーラムは論文をPubMed IDで整理するようになっているので、ちょっと修理不能です。PubMedに出る前の論文は、ぜひ、こちらで紹介してください。
      
   本文引用


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