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PubMedID 23217717 Journal Cell, 2012 Dec 7;151(6);1370-85,
Title Noninvasive imaging beyond the diffraction limit of 3D dynamics in thickly fluorescent specimens.
Author
東京大学理学系研究科 小澤研究室  小澤研究室    山田 俊理     2013/12/17

細胞の生理現象を三次元で高分解能・高速にイメージング
10月にドイツで開催されたイメージング学会に参加しましたが、そこで印象に残った研究のうちの一つを紹介したいと思います。

これまで様々な超分解顕微鏡が開発されてきましたが、z方向の分解能が低く、厚みのある核や細胞全体を対象とすることが困難でした。
そこでBetzig等は、SIMとBessel beam plane illuminationを組み合わせることで、Z方向の分解能を350 nm程度まで向上させ、
焦点面以外の励起を抑え、高いS/Nを獲得することに成功しました。
この顕微鏡を使えば、厚みのある対象、核や細胞全体、初期胚などに対しても高速に高い分解能でイメージングできることを論文中で示しています。

この論文が一貫して主張している点は、細胞のイメージングは四次元(x, y, z, t)揃うことで真の現象を可視化することができるということです。
実際、アクチンのイメージングにおいて、二次元の像と三次元の像を比べ、二次元ではアクチンの局在や動態を勘違いして解釈しうることを示しています。

個人的に感動したのが、U2OS(ヒト骨芽細胞)の染色体イメージングです。U2OSは染色体が76本あり、一本一本が細い(1 um以下)構造体であるため,今までの常識では個々の染色体を可視化することは不可能だと考えられていました。しかし、この顕微鏡を用いて有糸分裂時の全染色体の動きを追跡していることには衝撃を隠せませんでした。
今後イメージングで勝負する際は、やはり最先端の技術を取り入れる必要性を痛感させられた論文でした。
   
   本文引用

1 京都大学生命科学研究科  生体制御  松田道行 Re:細胞の生理現象を三次元で高分解能・高速にイメージング 2013/12/18
ご紹介ありがとうございます。圧倒的な画像ですね。日本にももっともっと顕微鏡を開発する研究者が出てほしいと思います。なお、Betzig先生には、2015年の「蛍光生体イメージ」領域終了シンポジウムでPlenary lectureをお願いしています。乞うご期待。
      
   本文引用
2 東京大学理学系研究科 小澤研究室  小澤研究室  山田 俊理 Re:細胞の生理現象を三次元で高分解能・高速にイメージング 2013/12/19
松田先生

コメントありがとうございます。

独自で顕微鏡を開発できると、研究の幅が広がることを痛感したので、
ポスドクでは顕微鏡を習うのも一つの選択肢と考えるようになりました。
Betzig先生の発表、ぜひまた聞きたいと思います。楽しみにしています。


また先ほど気付いたのですが、手違いで著者が抜けてしまいました。

Gao L, Shao L, Higgins CD, Poulton JS, Peifer M, Davidson MW, Wu X, Goldstein B, Betzig E.

になります。申し訳ありませんでした。
      
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