PubMedID | 17128267 | Journal | Nat Methods, 2007 Jan;4(1);39-42, |
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Title | Fast manipulation of cellular cAMP level by light in vivo. | ||
Author | Schroder-Lang S, Schwarzel M, ..., Hegemann P, Nagel G |
この論文は、青色光を感受してcAMPを産生する蛋白質を利用して、生命現象をコントロールした話です。
来月から浜松にある光産業創成大学院大学で働くことになり、この大学に客員教授で在籍しておられる渡辺正勝先生がこの蛋白質を扱っているので、知りました。
渡辺先生たちは、2002年に青色光で活性化しcAMPを産生する蛋白質、光活性化アデニル酸シクラーゼ(Photoactivated Adenylyl Cyclase:PAC)を発見されました(Iseki et al. 2002. Nature 415: 1047-1051)。紹介する論文は、2007年の論文ですが、PACをアフリカツメガエルの卵母細胞やHEK細胞、ショウジョウバエの脳に発現させて、光によって細胞内cAMPの濃度を人為的に変化させ、生命機能を制御したという論文です。元々ミドリムシで見つかった蛋白質ですが、コドンを最適化して様々な種で発現可能なようです。cAMPに依存した生命現象を調べるのに、PACはツールとして使えると思います。
偶然にも、私が研究対象としているチャネル蛋白質の一つのCFTRチャネルは、PKAのリン酸化によって開閉するチャネルですので、うまくPACと組み合わせて面白い研究ができないか思案中です。
1 | 京都大学生命科学研究科 生体制御学 松田道行 | 応用はどこまで広がっているのでしょう。 | 2012/04/23 |
ご紹介ありがとうございます。そういえば、北大→阪大の永井さんもこれを改変した仕事を学会で話しておらたような記憶が。報告後5年たっていますが、改変、応用などはどの程度進んでいるのでしょうか。差し障りのない範囲で教えてもらえるとありがたいです。論文では380-480 nmで励起してましたから、同時に使えるのは赤い蛍光タンパク質だけですかね。 | |||
2 | 理化学研究所・生命システムセンター 細胞動態計測研究グループ 平野美奈子 | 改変、応用はまだまだのようです。 | 2012/04/23 |
私が知る限りでは、上記の論文の他にアメフラシ感覚ニューロンや細胞性粘菌に発現させることには成功していますが、応用での利用は広がっていないようです。渡辺先生たちはPAC自体の仕組みを解明する研究に重きを置いていたようですし。ツールとして使う応用の方にさらに広がっていける蛋白質だと思いますので、機能を改良して多くの人が使ってもらってほしいですね。 | |||
3 | 大阪大学、産業科学研究所 永井研 齊藤健太 | ご報告ありがとうございます。 | 2012/04/24 |
応用されていないのは非常に不思議です。実際に試された方の感想を聞きたいところですが、フォーラムを読んでいる方や周りにいないでしょうか。
松田先生も指摘している通り、色変異体の改良(その他)が進めば利用も増えてくるかもしれません。 うちで関係するとしたら修士2年の学生(福田さん)の研究でしょうか。彼には先月、金沢で行われた第2回 Vivid Workshopに参加してもらったのでご存知の方も多いかと思います。 |
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4 | 理化学研究所 細胞動態計測研究グループ 平野美奈子 | 渡辺先生より 改変・応用について | 2012/04/25 |
渡辺先生から改変、応用についてのお話を伺いました↓。
・波長制御について 発色団がフラビンなのでレチナールの様に蛋白内環境で吸収が変わる性質は無いと思われるので、今の所展望は薄そう。フラビンを長波長吸収アナログ(ロゼオフラビン)で置換する事はできるかもしれない。 ・Beggiatoa PAC マンマリアンではないが、Optogenetic tool として位置づけて、PACの祖先形とも言うべきシンプルな細菌(Beggiatoa) PACの改変(cGMP合成等)や解析、導入をした論文が2−3報ドイツやアメリカのグループから出ている。渡辺先生たちもこのBeggiatoa PACを大腸菌に導入してその薬剤耐性やバイオフィルム形成能を光制御した(Yasukawa, Iseki, Watanabeら、J.Appl.Microbiol. 2012 (in press))。 ・てんかん脳の光制御的形成 ラット海馬スライスの神経軸索にPAC遺伝子を導入し青色光を照射すると、異常な分岐が誘導され、転換能の初期状態が形成された。昨年9月の日本神経科学会でポスター発表(P3-f07 てんかん脳におけるcAMP 依存的な神経細胞の構造可塑性) |
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5 | 大阪大学、産業科学研究所 永井研 齊藤健太 | 改変、応用について | 2012/04/25 |
平野様
ご連絡ありがとうございます。 大変参考になりました。さっそく調べてみます。 |
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