PubMedID | 22241909 | Journal | J Nucl Med, 2012 Feb;53(2);312-7, |
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Title | Proof-of-concept study of monitoring cancer drug therapy with cerenkov luminescence imaging. | ||
Author | Xu Y, Chang E, ..., Gambhir SS, Cheng Z |
少しこのフォーラムとは毛色が違うかもしれませんが、RIプローブが生じるチェレンコフ光を利用することで、RIイメージングよりも簡単に分子標的薬剤(アバスチン)の治療効果をモニタリングをすることができる、という論文です。
ポジトロンを放出する18F-FDGあるいは18F-FLTはがんの代謝・増殖能を評価できる有用なPET用RIプローブとしてFDAでも認められ臨床で汎用されているものですが、PETは非常に高額な機器で取り扱いにも難があります。
一方でIVISなどの光イメージング機器は簡単に取り扱え、PETと比べれば安価でスループットの良いイメージング手法と言えます。
高エネルギー荷電粒子が生じるチェレンコフ光を使ってRIプローブの動態を光イメージングする、という試みがここ数年なされてきているのですが、がん標的薬剤の治療効果判定に定量的に使えるかどうかの検討は今までになされていませんでした。この論文では実際に担がんマウスにアバスチンを投与し、投与前日と3日後にFDG/FLTを用いたPETイメージング・チェレンコフ光イメージングを連続して行い、インビボ画像データから定量したPETカウントと光カウントを比較しています。
結果として両者は良い直線性を示したことから、18F標識PETプローブを用いたチェレンコフ光イメージングは前臨床の治療効果モニタリングや治療薬剤のスクリーニングに有効な手法になることが示唆されました。
現実的にはRI管理区域でないとチェレンコフ光イメージングも出来ませんので、光イメージングの簡便さ・スループットの高さがどこまで生かせるかは今後の課題(制度的なものも含めて)と思いますが、既に臨床で認可されている有用なPETプローブが数多くありますので、これを光イメージングにそのまま応用して評価することができるという点は有効かと思いました。
1 | 京都大学大学院 生命科学研究科 生体制御学分野 松田道行研 熊谷悠香 | 素人ですが… | 2012/08/09 |
ご紹介くださり、ありがとうございます。
物理に疎くチェレンコフ光という言葉は初めて聞きました。周りに聞いてみると物理分野ではかなり有名な話みたいで、調べるきっかけとなり勉強になりました。 今回の話において述べられているPETに対するCLIの他にも、fMRIに対する光トポグラフィのように高額な画像診断法に代わる簡便で安価な手法として光イメージング法が台頭しつつあるように思います。 ディスカッションで述べられているように、光イメージングは深さのあるシグナルを感知しづらいというデメリットがあるので、実際に人体で使用した際どの程度深い所のシグナルを検知できるかも大事だと思いました。 |
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