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PubMedID 23157219 Journal J Am Chem Soc, 2012 Dec 5;134(48);19588-91,
Title Reversible off-on fluorescence probe for hypoxia and imaging of hypoxia-normoxia cycles in live cells.
Author Takahashi S, Piao W, ..., Nagano T, Hanaoka K
京都大学工学研究科物質エネルギー化学専攻  励起物質化学研究室    田邉一仁     2013/02/25

酸素濃度の変化に可逆的に応答する低酸素プローブ
東京大の長野先生、花岡先生のグループが低酸素細胞の新しいプローブを発表しました。新しいstrategyを活用した酸素濃度の変化に可逆的に対応可能な蛍光プローブです。RHyCy5というこの低酸素プローブは、発光部分としてCy5、消光機能部分としてQSY-21という2つの機能部を持っています。通常の酸素濃度の場合は、Cy5の蛍光発光はFRETによってQSY-21により消光されます。他方、酸素濃度が低いと細胞内で駆動する還元酵素によって、消光機能分子QSY-21が還元されてラジカルへと変換される結果、FRETが解消され、Cy-5の発光が回復します。従って、低酸素環境で選択的に発光することになります。また、このプローブの特徴は、QSY-21が還元されて生成するラジカルは、酸素に触れると酸化されて、もとのQSY-21に戻る点です。この逆反応が進行するため、低酸素状態から、有酸素状態に戻るとプローブの発光は抑制されます。すなわち、酸素濃度の変化に対して可逆的に応答が可能です。この論文では、A549細胞を使って、低酸素細胞の可逆的な可視化を達成されています。
私どもの研究グループでも、低酸素細胞の可視化プローブの作成を試みており、興味深く読ませて頂きました。論文の中では詳細に述べられておりませんでしたが、細胞内での還元酵素によるラジカル種の生成過程がどの程度速いかを知りたいと思っています。速ければ速いほどリアルタイムに細胞内の酸素濃度を調べることが可能となりますので、非常に有用になろうかと思います。
   
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