PubMedID |
23217741 |
Journal |
Neuron, 2012 Dec 6;76(5);921-30, |
Title |
Golgi outposts shape dendrite morphology by functioning as sites of acentrosomal microtubule nucleation in neurons. |
Author |
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名古屋大学医学部細胞生物学 宮田卓樹研究室 榊原明 2013/03/29
樹状突起内部の微小管極性化メカニズム
ニューロンの樹状突起と軸索内部における細胞質微小管の配向性に関する研究は1980年代に電子顕微鏡を用いたフックアッセイ(細胞膜に穴をあけて過剰なチューブリンを加え、微小管を修飾して向きを判定)が盛んに行われ、二次元平板培養系の海馬ニューロンを用いた研究から、神経突起形成の初期ならびに成熟した軸索において、ほとんどの微小管プラス端が突起の先端を向いているのに対し、樹状突起内部では発達のステージが進むにつれて反対向きの微小管(プラス端を細胞体に向けたもの)が増加し両方向性へと変化することが明らかにされました(Baas PW et al. 1989 PMID: 2592416)。
その後、他の種類のニューロンでも同じような配向性なのであろうと一般化されて考えられてきたのですが、最近、ショウジョウバエ感覚ニューロンの樹状突起では、両方向性というよりも、むしろプラス端を細胞体に向けた微小管が多く存在することが示されました(Rolls MM et al. 2007 PMID: 17470283)。
今回の論文では、微小管プラス端の蛍光ライブイメージングを駆使して、このような逆方向性の微小管が中心体を起点として形成されるのではなく、樹状突起内部に散在するゴルジ体(Golgi outposts)の表面にある微小管形成中心(MTOC)から伸長してくることを明らかにしています。近年、ニューロンの細胞質微小管形成において、中心体ではなく非中心体MTOCの機能が重要であるという報告が相次いでおり(Basto R et al. 2006 PMID: 16814722; Stiess M et al. 2010 PMID: 20056854)、今後、細胞質微小管の配向性と細胞機能の相関を説明する上で、どのような展開になるのか興味深いところです。